別に小説とか言うもんでもないですが。
日常というにはいささか現実離れした会話が続きます。
…なんなんでしょうね(笑)。
ちょっと風景が見えればいいなぁって思いました。
では読みたい人どうぞ。
******
ざらっ。
(うわ…)
ピアノの鍵盤、またラの音だけ遅れた。
(また薬指)
7分の均衡が一瞬でヘナって崩れる。
(最後の和音、ppで)
(力、抜くんじゃなくて芯のある音で)
わかってるけど。
KAWAIの鍵盤とペダル、そろそろって放し。て。
「…だから、違うから」
横で腕組みして聞いてた先生。
苦笑いしながらいうから。
(ああああああああ!)
なんでできないの私。
「…はい、すみませ」
何で謝るの自分。
(今日5回目だし)
さっきから同じところでつまづいてる。
(先週も同じこと言われて)
…進歩なし。
「和音きっちりあわせろって」
「…はい」
肝心なときにいつもはずす。
ここぞってときの力が足りなくて。
(今更)
和音合わせろだなんて。
初歩的過ぎて。
(笑えねぇし)
「じゃあまた来週ねこれ。仕上げてきて」
「はい。」
楽譜に今日のこと書き込む。
左の打鍵、
2ページ目のアルペジオ、
いろいろ。
ありすぎて。
(集中力足りないんじゃないの)
ふ、と見ると入り口から覗いてる。次の人もう来てんじゃん…!
出かけた溜息あわてて飲み込んで、ありがとうございましたってレッスン室後にして。
(今の音聞かれてたよなぁ)
心底うんざりした。
最低。
みっちゃーん。
「レッスン?お疲れ〜」
ゆーだ。お疲れー。
今何弾いてんのー?ラフマニノフ?
うん。やべーの。弾けねーよこれ。
えー、みっちゃんなら大丈夫だよー。弾けてんじゃん。
だめだめ、ムリムリ。私の指、仲悪くてね。全然。試験間に合わねー。
あはは、みんなそんなもんだって。大丈夫大丈夫。
うーん。そうねぇ。
大丈夫がってどのへんが?
(具体的に言ってよ)
ぎりり。
嫌な音がする。
(気持ち悪い)
背中の奥、首の裏。
(嫌だな自分)
また一人で疲れてる。
(ゆーはこんなに笑ってくれるのに)
とてもかわいいゆー。
なんの影もなく私に笑う。
じゃあ私練習すっから。また。
あ、うんがんばってねー。
ゆーもね。バイバイ。
みっちゃん!
ん?
「わたしみっちゃんの音すきだよ!だから大丈夫だよ!」
(!)
ブフッって、思わず噴出した。
何言ってんだこの子は。こんな廊下のど真ん中。大声で。
「…ああ、そうなの」
苦笑して言った。
声、震わせながら。
「ありがとう」
なんであんな音出した後にありがとうって言えんのかな私。
(ゆーが)
ほら、私が笑うとゆーは満足そうに。
(ゆーは心から思ったことしか言わない)
笑う。
「みっちゃんさぁ、ちょっと考えすぎなんじゃないの?」
…何を。
「てかすごいよね、私そこまで考えないよ弾くときさぁ」
…あぁ、なるほど。
「あのね、私は考えないとだめなの。そうじゃないと勝手に弾きすぎるの」
「うー、いいと思うけどなぁそれで。考えすぎて弾けてないんじゃん」
ごもっとも。ありがとう友人。
「でもせめて楽譜の指示は守らないとだめでしょ。私の場合考えないとそこも守れなくなるから」
自分の中で指示記号勝手に作り出してしまうから。ppをffにしてしまうから。
「そこまで神経質になる必要ないと思うけどなぁ。みっちゃんちょっと変なとこにこだわりすぎる」
ダイレクトだねありがとうヨッコ。わかってんだけどね。
(なかなか改善できるもんでもなくてねぇ)
ヨッコできても私できない。
(…うわぁーまたやった…)
げんなり。そうやって考える自分。
(だから何だって話で)
これじゃ自分の音がわかるわけないし。
「ヨッコあれ弾いて、この間のチョピン」
ヨッコのショパンはいささか華麗すぎるけど。
(聴きたくなるから不思議)
弾いてって、普通みんな嫌がるのに。
(なんのためらいもなく弾くヨッコ)
音に何の迷いもなくて。
(ヨッコみたいに弾けたらよかったのに)
ヨッコの弾き方、私にもあったらよかったのに。
(私どこで間違ったのかな)
いつからこうやって、弾けないってわかるようになったんだっけ。
弾けるって、思わなくなったのは
いつからだっけ。
(こんなに好きなのにな)
何が足りないんだろう。
正直さ?
「みち弾けてんだよ」
…いやだからそれがわかんないんだって。
「自信ないだけでしょ」
うーんまあそれもそうだけど。
「行きたいとこに行かしとけばいいんだって、音なんて。みちそれ無理やり抑えてっからだめなんじゃないの」
…わかんない。
すごく力いるんだけど、1音出すのに。
(自分からどっか行ってくれるとか、ない)
「あのねぇみちの音はきれいだよ、すごく」
…そぉかぁ?
「うん、波紋できるの怖がってる北欧の湖みたいな」
うわぁー。
(やられたっ!)
ゴンッ
ひじついてたグランドのフタに思いっきりアタマをぶつける。
それは…
「…いい具合につくりモンだね」
(全然きれいじゃないじゃん、それ)
気持ち悪いだけじゃん。
「怖がりさえしなきゃ理想だよ。みんな欲しがるものだよ」
…何が。湖が?そんなに欲しいか?
「欲しいよそりゃ」
何いってんのあんた、みたいな目。して。
「私だって欲しいもん」
(みずうみ?)
浅い?深い?
ネッシー?
「えっ何っ怪獣?!」
ゆーがぐりんて顔向けてくる。ありがとう反応してくれて。独り言だから。
(ゆーは私の音好きだって言ってくれた)
ゆー、ヨッコが私の音怖がりの湖だって言うんだけど。
えっ何それ、だからネッシー?!
うん、いや、まあ、ネッシー関係ないんだけど。
えっ、でもみっちゃんなら飼えるよネッシー!
は!? いや飼わないから! だからネッシーどうでもいいんだってば。
なんで?みっちゃんなら5匹は飼えるのに。
でかっ!どんだけでかいの私。
おっきーよーみっちゃん。ヨッコリの言ってることわかるよ。
だって私はみっちゃん海だと思ってるもん。
ゴンッ。
中が空の机だからよく響く。
(…この子は…)
突然こういうことを言いよる。
(普通の人が聞いたらただのアタマ変な人の会話)
でも、
(笑うから)
「そうなの…じゃあくじらだな。くじら住まわせないとな」
できそうな気がしてくる。
(自然てどんなかんじ?)
客観的にみて。
(…わかんねぇよ)
中にいて自然なものが自然。
同化するから。
(でも年季の入り方違う)
たかだか20年ちょっとしか生きてない。
(海とかってでかいし)
譜面台に映る緑とかは好き。
空とか。雲見ながらピアノ弾いて。
(そういうときの自分の音は好きだ)
もしかしてゆーはその音の事言ってるのかな。
(でも私ゆーの前で出したことないよその音)
いつ聴いたの?
私いつ弾いてたのかな
そんな音。
(私は人に音を聞かれるのが怖い)
誰もいないところで弾くのが好き。
(音が沢山見える)
余計なもの入り込んでこなくて。
(正しい音なんかないのに)
いつも間違ってやしないかと思う。
(…自分を出せてないだけじゃん)
純粋とかきれいとかいうんじゃなくて。
(きれいじゃなくならないようにしてるだけだ)
それって最高に
「…穢れてる」
みっちゃん!!むずかしいよ!
…どうして怒るのそれで。
(ゆーは素直だね)
ねー、ゆー。私のどのあたりの音聞いて好きだと思うの?
えっ?!だってみっちゃんの音気持ちいいんだよ?!
絶句。
(…よかったうどん口に入れてなくて)
吐き出すし普通に。
…ええと、私にはさっぱりわからないんだけれども。どのあたりが?
うーん、声とか?
…それピアノじゃないじゃん!
「でもみっちゃんいつも音楽してるよね」
…もしもし?ゆー?
「歩いてる音とか、話しかたも、笑いかたも。作ってるとかじゃなくて」
自然なの。深くて、大きくて、あったかいから。
だからみっちゃんの音、すごく好きだよ。
(ピアノ)
弾いてる自分は、多分
(不自然なんだな)
ヨッコは正しい。
考えすぎ。
(私が弾くのはひとの曲だけど私はその人には成り代われない)
私が弾くしかない。私自身で。
(でも怖いから)
否定されるから。
(じゃあ弾くなよバカ)
ねー、ゆー。私バカなんだよ。
ゆーはすごく好きだって言ってくれるのに、私全然自分の音わからないし好きになれないんだよ。
だからゆーが好きだって言ってくれてるの全然わからないんだ。
「うん、だいぶよくなった」
腕組みしながら先生。
(今日のKAWAI変に重い)
「ここのアルペッジョ、もっとこんな感じで」
KAWAIの隣に並んでるYAMAHAのピアノ、弾いて見せてくれるのに重ね弾きして。
(先生横で弾いてくれるの安心する)
のびのび弾いてる自分が。
(ヨッコは絶対こういうの嫌いだ)
矯正されてるみたいでごめんだとか言うに違いない。
「そうそう、いいですね。曲想もつかんでるし。試験大丈夫でしょ」
あのー…先生。
「はい?」
…弾けてるんですかね私。
「・・・・。」
(うわー引いた…引いちゃったよ先生)
自分の教え子にこんな子といわれてどうなんだろう先生。
(気にする人じゃないけど)
多分、目の奥にあるものは
「・・・・そんなに自分が弾けてないと思ってるの?」
呆れ色。
「えー絶対やだ。重ね弾きとかしないし」
やっぱり。
ヨッコわざと違う弾き方とかしそうだよね。
「わざとじゃなくて弾くとそうなる。弾きたい方向一緒なら同じようになるだろうけど。でもそんなのありえないよ」
…そうかな。
「自分作った世界に勝手に入り込んでくんなってかんじ」
…なるほど。
(唯一無二の道)
ヨッコが指の一振りで切り開く音の道。
「でもみち、今回いいって言われたんでしょ?」
…まぁ。
でも今までが今までだったし。
「弱音」
…ズバリありがとう友人。
「てか考えすぎなんだって。全体的に人のこと信用してないし。何言ってもだめじゃんそれじゃ」
みち見過ぎてんだよいろいろ。
(人のこと透視するくらい見といて肝心なときに受け入れられないって逃げるのどうなのバーイヨッコ)
…透視してるつもりはないんだが。
(てか見えてるつもりもないし)
観察は好きだけど。
(びくついてるってこと?)
…それは正解かも。
(自分のこと一番見えてない)
自分の存在はどこら辺にあるんだ?
みっちゃん!!
…ゆー、フォークこっち向けないで。
みっちゃん最近逃げの一手が多いよ!
…はい?
みっちゃんは勝負師らしく勝負しないとだめだよ!今日の弾き合い、みっちゃん無難すぎておかしかった。
…そうなの?
(自分じゃよくわかんない)
あまりうまく弾けた記憶はないけど。
みっちゃんうまかったよ。でも私あんなみっちゃんやだー。
やぁーだぁー。
(…なんでそこで泣くの!!)
ゆー、どうして泣くの。どうしたの。
「みっちゃんつまんない!楽しくない!!こっち向いてくんない!!」
ぐらぁっ。
(…ああー…)
…脳卒中で倒れそうだよ、ゆー。
うん、そうだね、その通りだよ、ゆー。
(自分じゃよくわかんないとかって)
最低だし。
バカだ。極限のバカだ。
ごめんね、ゆー。あんな音聞かせて。
何の納得もできてなかったよ私。
私弾くから。楽しく弾くから。
だからお願い、レストランのど真ん中で泣き叫ぶのはやめて。
…なんかよくわかんないけど。
(今なら弾けるかも)
ゆーを黙らせるようなピアノ。
(きっとあんなふうに弾いたら泣きやむ)
あんなふうに。
こんなふうに。
あーしてこーして。
(あ)
あっだめだ。
わかった。
わかっちゃった。
(うわうわうわうわうわうわうわ)
待て待て待て待て。
「ゆー。」
今からピアノ弾きにいくよ。
えっガッコ戻れないよ時間ないよ!
どこだっていいよ。ピアノあるところなら。どこでだって弾いてあげる。
いくらでも弾くよ。ゆーの好きなだけ弾くよ。
(あ、)
泣き止む。
(…うわぁー)
ほんと一気に晴れるみたいに笑うから。
「みっちゃんかっこいー!!」
苦笑するしかない。
じゃあヨッコリも呼ぼうよ!ヨッコリいっぱい知ってるよピアノあるとこ!
ああー…あれでしょジャズバーとかでしょ。
「みっちゃんどこだっていいって言った!!」
…ああそうね、言ったわね。うんいいよ。
なんでもいいよ。いくらでも弾くよ。だから早く行こう。
ほんと、あふれてとまらないんだ今。
******
…ごめん、眠くなった、寝る(笑)
話の展開がどうとか考えてないからかなり強引ですがごめんなさい。
まあ…おかしな会話するヤツラだな程度で(なにそれ)。
ゆーみたいな子すきだ。
…だから小説とかいうんじゃないんだってば(そこでいろいろ言うな、shiho!/笑)
でもなんでみちが弾きたくなっただとか、わかったっていってんのかとか。
…考えるとすごくあったかくなんですけど気持ちが。
こういう単純なのもアリってことで。
あ、だめだ、眠い。寝る。
(うわ…)
ピアノの鍵盤、またラの音だけ遅れた。
(また薬指)
7分の均衡が一瞬でヘナって崩れる。
(最後の和音、ppで)
(力、抜くんじゃなくて芯のある音で)
わかってるけど。
KAWAIの鍵盤とペダル、そろそろって放し。て。
「…だから、違うから」
横で腕組みして聞いてた先生。
苦笑いしながらいうから。
(ああああああああ!)
なんでできないの私。
「…はい、すみませ」
何で謝るの自分。
(今日5回目だし)
さっきから同じところでつまづいてる。
(先週も同じこと言われて)
…進歩なし。
「和音きっちりあわせろって」
「…はい」
肝心なときにいつもはずす。
ここぞってときの力が足りなくて。
(今更)
和音合わせろだなんて。
初歩的過ぎて。
(笑えねぇし)
「じゃあまた来週ねこれ。仕上げてきて」
「はい。」
楽譜に今日のこと書き込む。
左の打鍵、
2ページ目のアルペジオ、
いろいろ。
ありすぎて。
(集中力足りないんじゃないの)
ふ、と見ると入り口から覗いてる。次の人もう来てんじゃん…!
出かけた溜息あわてて飲み込んで、ありがとうございましたってレッスン室後にして。
(今の音聞かれてたよなぁ)
心底うんざりした。
最低。
みっちゃーん。
「レッスン?お疲れ〜」
ゆーだ。お疲れー。
今何弾いてんのー?ラフマニノフ?
うん。やべーの。弾けねーよこれ。
えー、みっちゃんなら大丈夫だよー。弾けてんじゃん。
だめだめ、ムリムリ。私の指、仲悪くてね。全然。試験間に合わねー。
あはは、みんなそんなもんだって。大丈夫大丈夫。
うーん。そうねぇ。
大丈夫がってどのへんが?
(具体的に言ってよ)
ぎりり。
嫌な音がする。
(気持ち悪い)
背中の奥、首の裏。
(嫌だな自分)
また一人で疲れてる。
(ゆーはこんなに笑ってくれるのに)
とてもかわいいゆー。
なんの影もなく私に笑う。
じゃあ私練習すっから。また。
あ、うんがんばってねー。
ゆーもね。バイバイ。
みっちゃん!
ん?
「わたしみっちゃんの音すきだよ!だから大丈夫だよ!」
(!)
ブフッって、思わず噴出した。
何言ってんだこの子は。こんな廊下のど真ん中。大声で。
「…ああ、そうなの」
苦笑して言った。
声、震わせながら。
「ありがとう」
なんであんな音出した後にありがとうって言えんのかな私。
(ゆーが)
ほら、私が笑うとゆーは満足そうに。
(ゆーは心から思ったことしか言わない)
笑う。
「みっちゃんさぁ、ちょっと考えすぎなんじゃないの?」
…何を。
「てかすごいよね、私そこまで考えないよ弾くときさぁ」
…あぁ、なるほど。
「あのね、私は考えないとだめなの。そうじゃないと勝手に弾きすぎるの」
「うー、いいと思うけどなぁそれで。考えすぎて弾けてないんじゃん」
ごもっとも。ありがとう友人。
「でもせめて楽譜の指示は守らないとだめでしょ。私の場合考えないとそこも守れなくなるから」
自分の中で指示記号勝手に作り出してしまうから。ppをffにしてしまうから。
「そこまで神経質になる必要ないと思うけどなぁ。みっちゃんちょっと変なとこにこだわりすぎる」
ダイレクトだねありがとうヨッコ。わかってんだけどね。
(なかなか改善できるもんでもなくてねぇ)
ヨッコできても私できない。
(…うわぁーまたやった…)
げんなり。そうやって考える自分。
(だから何だって話で)
これじゃ自分の音がわかるわけないし。
「ヨッコあれ弾いて、この間のチョピン」
ヨッコのショパンはいささか華麗すぎるけど。
(聴きたくなるから不思議)
弾いてって、普通みんな嫌がるのに。
(なんのためらいもなく弾くヨッコ)
音に何の迷いもなくて。
(ヨッコみたいに弾けたらよかったのに)
ヨッコの弾き方、私にもあったらよかったのに。
(私どこで間違ったのかな)
いつからこうやって、弾けないってわかるようになったんだっけ。
弾けるって、思わなくなったのは
いつからだっけ。
(こんなに好きなのにな)
何が足りないんだろう。
正直さ?
「みち弾けてんだよ」
…いやだからそれがわかんないんだって。
「自信ないだけでしょ」
うーんまあそれもそうだけど。
「行きたいとこに行かしとけばいいんだって、音なんて。みちそれ無理やり抑えてっからだめなんじゃないの」
…わかんない。
すごく力いるんだけど、1音出すのに。
(自分からどっか行ってくれるとか、ない)
「あのねぇみちの音はきれいだよ、すごく」
…そぉかぁ?
「うん、波紋できるの怖がってる北欧の湖みたいな」
うわぁー。
(やられたっ!)
ゴンッ
ひじついてたグランドのフタに思いっきりアタマをぶつける。
それは…
「…いい具合につくりモンだね」
(全然きれいじゃないじゃん、それ)
気持ち悪いだけじゃん。
「怖がりさえしなきゃ理想だよ。みんな欲しがるものだよ」
…何が。湖が?そんなに欲しいか?
「欲しいよそりゃ」
何いってんのあんた、みたいな目。して。
「私だって欲しいもん」
(みずうみ?)
浅い?深い?
ネッシー?
「えっ何っ怪獣?!」
ゆーがぐりんて顔向けてくる。ありがとう反応してくれて。独り言だから。
(ゆーは私の音好きだって言ってくれた)
ゆー、ヨッコが私の音怖がりの湖だって言うんだけど。
えっ何それ、だからネッシー?!
うん、いや、まあ、ネッシー関係ないんだけど。
えっ、でもみっちゃんなら飼えるよネッシー!
は!? いや飼わないから! だからネッシーどうでもいいんだってば。
なんで?みっちゃんなら5匹は飼えるのに。
でかっ!どんだけでかいの私。
おっきーよーみっちゃん。ヨッコリの言ってることわかるよ。
だって私はみっちゃん海だと思ってるもん。
ゴンッ。
中が空の机だからよく響く。
(…この子は…)
突然こういうことを言いよる。
(普通の人が聞いたらただのアタマ変な人の会話)
でも、
(笑うから)
「そうなの…じゃあくじらだな。くじら住まわせないとな」
できそうな気がしてくる。
(自然てどんなかんじ?)
客観的にみて。
(…わかんねぇよ)
中にいて自然なものが自然。
同化するから。
(でも年季の入り方違う)
たかだか20年ちょっとしか生きてない。
(海とかってでかいし)
譜面台に映る緑とかは好き。
空とか。雲見ながらピアノ弾いて。
(そういうときの自分の音は好きだ)
もしかしてゆーはその音の事言ってるのかな。
(でも私ゆーの前で出したことないよその音)
いつ聴いたの?
私いつ弾いてたのかな
そんな音。
(私は人に音を聞かれるのが怖い)
誰もいないところで弾くのが好き。
(音が沢山見える)
余計なもの入り込んでこなくて。
(正しい音なんかないのに)
いつも間違ってやしないかと思う。
(…自分を出せてないだけじゃん)
純粋とかきれいとかいうんじゃなくて。
(きれいじゃなくならないようにしてるだけだ)
それって最高に
「…穢れてる」
みっちゃん!!むずかしいよ!
…どうして怒るのそれで。
(ゆーは素直だね)
ねー、ゆー。私のどのあたりの音聞いて好きだと思うの?
えっ?!だってみっちゃんの音気持ちいいんだよ?!
絶句。
(…よかったうどん口に入れてなくて)
吐き出すし普通に。
…ええと、私にはさっぱりわからないんだけれども。どのあたりが?
うーん、声とか?
…それピアノじゃないじゃん!
「でもみっちゃんいつも音楽してるよね」
…もしもし?ゆー?
「歩いてる音とか、話しかたも、笑いかたも。作ってるとかじゃなくて」
自然なの。深くて、大きくて、あったかいから。
だからみっちゃんの音、すごく好きだよ。
(ピアノ)
弾いてる自分は、多分
(不自然なんだな)
ヨッコは正しい。
考えすぎ。
(私が弾くのはひとの曲だけど私はその人には成り代われない)
私が弾くしかない。私自身で。
(でも怖いから)
否定されるから。
(じゃあ弾くなよバカ)
ねー、ゆー。私バカなんだよ。
ゆーはすごく好きだって言ってくれるのに、私全然自分の音わからないし好きになれないんだよ。
だからゆーが好きだって言ってくれてるの全然わからないんだ。
「うん、だいぶよくなった」
腕組みしながら先生。
(今日のKAWAI変に重い)
「ここのアルペッジョ、もっとこんな感じで」
KAWAIの隣に並んでるYAMAHAのピアノ、弾いて見せてくれるのに重ね弾きして。
(先生横で弾いてくれるの安心する)
のびのび弾いてる自分が。
(ヨッコは絶対こういうの嫌いだ)
矯正されてるみたいでごめんだとか言うに違いない。
「そうそう、いいですね。曲想もつかんでるし。試験大丈夫でしょ」
あのー…先生。
「はい?」
…弾けてるんですかね私。
「・・・・。」
(うわー引いた…引いちゃったよ先生)
自分の教え子にこんな子といわれてどうなんだろう先生。
(気にする人じゃないけど)
多分、目の奥にあるものは
「・・・・そんなに自分が弾けてないと思ってるの?」
呆れ色。
「えー絶対やだ。重ね弾きとかしないし」
やっぱり。
ヨッコわざと違う弾き方とかしそうだよね。
「わざとじゃなくて弾くとそうなる。弾きたい方向一緒なら同じようになるだろうけど。でもそんなのありえないよ」
…そうかな。
「自分作った世界に勝手に入り込んでくんなってかんじ」
…なるほど。
(唯一無二の道)
ヨッコが指の一振りで切り開く音の道。
「でもみち、今回いいって言われたんでしょ?」
…まぁ。
でも今までが今までだったし。
「弱音」
…ズバリありがとう友人。
「てか考えすぎなんだって。全体的に人のこと信用してないし。何言ってもだめじゃんそれじゃ」
みち見過ぎてんだよいろいろ。
(人のこと透視するくらい見といて肝心なときに受け入れられないって逃げるのどうなのバーイヨッコ)
…透視してるつもりはないんだが。
(てか見えてるつもりもないし)
観察は好きだけど。
(びくついてるってこと?)
…それは正解かも。
(自分のこと一番見えてない)
自分の存在はどこら辺にあるんだ?
みっちゃん!!
…ゆー、フォークこっち向けないで。
みっちゃん最近逃げの一手が多いよ!
…はい?
みっちゃんは勝負師らしく勝負しないとだめだよ!今日の弾き合い、みっちゃん無難すぎておかしかった。
…そうなの?
(自分じゃよくわかんない)
あまりうまく弾けた記憶はないけど。
みっちゃんうまかったよ。でも私あんなみっちゃんやだー。
やぁーだぁー。
(…なんでそこで泣くの!!)
ゆー、どうして泣くの。どうしたの。
「みっちゃんつまんない!楽しくない!!こっち向いてくんない!!」
ぐらぁっ。
(…ああー…)
…脳卒中で倒れそうだよ、ゆー。
うん、そうだね、その通りだよ、ゆー。
(自分じゃよくわかんないとかって)
最低だし。
バカだ。極限のバカだ。
ごめんね、ゆー。あんな音聞かせて。
何の納得もできてなかったよ私。
私弾くから。楽しく弾くから。
だからお願い、レストランのど真ん中で泣き叫ぶのはやめて。
…なんかよくわかんないけど。
(今なら弾けるかも)
ゆーを黙らせるようなピアノ。
(きっとあんなふうに弾いたら泣きやむ)
あんなふうに。
こんなふうに。
あーしてこーして。
(あ)
あっだめだ。
わかった。
わかっちゃった。
(うわうわうわうわうわうわうわ)
待て待て待て待て。
「ゆー。」
今からピアノ弾きにいくよ。
えっガッコ戻れないよ時間ないよ!
どこだっていいよ。ピアノあるところなら。どこでだって弾いてあげる。
いくらでも弾くよ。ゆーの好きなだけ弾くよ。
(あ、)
泣き止む。
(…うわぁー)
ほんと一気に晴れるみたいに笑うから。
「みっちゃんかっこいー!!」
苦笑するしかない。
じゃあヨッコリも呼ぼうよ!ヨッコリいっぱい知ってるよピアノあるとこ!
ああー…あれでしょジャズバーとかでしょ。
「みっちゃんどこだっていいって言った!!」
…ああそうね、言ったわね。うんいいよ。
なんでもいいよ。いくらでも弾くよ。だから早く行こう。
ほんと、あふれてとまらないんだ今。
******
…ごめん、眠くなった、寝る(笑)
話の展開がどうとか考えてないからかなり強引ですがごめんなさい。
まあ…おかしな会話するヤツラだな程度で(なにそれ)。
ゆーみたいな子すきだ。
…だから小説とかいうんじゃないんだってば(そこでいろいろ言うな、shiho!/笑)
でもなんでみちが弾きたくなっただとか、わかったっていってんのかとか。
…考えるとすごくあったかくなんですけど気持ちが。
こういう単純なのもアリってことで。
あ、だめだ、眠い。寝る。
25歳